患者さんとそのご家族へ

病気の話

食物アレルギー

1.食物アレルギーの診断

以下の2点を証明することで診断されます。
①特定の食物を食べることでアレルギー症状が誘発される
②それが特異的IgE抗体など免疫学的機序を介する可能性がある

2.アレルギー症状と注意すべきポイント

誘発されるアレルギー症状は以下に示す通りで、この内1つまたは複数が認められます。
1) 皮膚・粘膜症状(じんましん、赤み、かゆみ、眼・顔の腫れ)
2) 呼吸器症状(せき、はな、ゼーゼー)
3) 消化器症状(下痢、嘔吐)
4) 循環器症状(脈の異常、血圧低下)
5) 神経症状(眠気、頭痛、意識もうろう、失禁)

 

※食物が皮膚に直接付着してその部位に出現する皮膚・粘膜症状は、明らかな食物アレルギーの症状とは言えず、その後に現れる症状や再現性の有無などから判断します。
原因食物を食べてから症状が誘発されるまでの時間は10〜60分が多く、ほぼ全てが2時間以内です。
そのため、この時間帯に当てはまらない時に生じたアレルギー症状は、その原因が食物を食べたことによるものではない可能性があります。

3.特異的IgE抗体検査

 

特異的IgE抗体検査は、アレルギー診断において最も一般的に行われる検査で、血液を用いて実施されます。
この検査では、それぞれの食物に対するアレルギー反応を起こす血液中の免疫物質=抗体が測定され、その測定結果とクラス(0〜6)等が結果として得られます。

特異的IgE抗体検査結果の一例

アレルゲン名 測定結果(UA/ml) クラス 判定
卵白 1.85 2 疑陽性
牛乳 4.25 3 陽性
ピーナッツ 0.1未満 0 陰性
 

この検査の結果が陽性で、かつこの検査実施の直前に、特定の食物を摂取後にアレルギー症状の誘発を認めたことがあれば、食物アレルギーと診断されます。
しかし、過去にアレルギー症状が誘発されたことがない場合、この検査結果が陽性であることのみで食物アレルギーと診断することはできません。
つまり、この検査で陽性であっても、実際にはその食物を食べられることがあります。

 

また、一部の食物アレルギーは自然に治ることもあるため、この検査で陽性で、かつアレルギー症状の誘発を認めたことがあっても、長期間(目安として約2年間)に渡り摂取したことがない場合、現在も食物アレルギーであるとは言い切れません。

4.食物経口負荷試験

食物経口負荷試験は、アレルギーが確定しているか疑われる食物を医療機関で食べて、症状の有無を確認する検査で、食物アレルギーの最も確実な診断法です。
この検査を受けるのに適した主な方は以下の①〜③の様な方々です。

①特異的IgE抗体検査の結果が陽性であるがその食物を食べたことがない
②特定の食物を食べてアレルギーを疑う症状が出たが、明らかな症状とは言えない
③卵・牛乳・小麦・大豆アレルギーと就学以前に診断されているが、その後長期間に渡り食べたことがない

この検査を受けることで食物アレルギーの診断が確実となり、食生活に良い影響を与えたり、日常生活における注意点に気づくことができたり、園や学校等の食事に関連する活動において有用な情報となったりします。

5.当院の食物経口負荷試験

●現在は月曜日〜水曜日に、小児科の病棟において、食物経口負荷試験を実施しています。
●摂取食品や摂取間隔は、事前の診療中に決定し、ご説明をいたします。

□スケジュール

時間 イベント
9:00 - 9:30 病棟に入室
9:30 - 10:00 問診、診察など
10:00 - 食物経口負荷試験
最終摂取から30分後かつ12時以降 昼食
最終摂取から120分後 結果の説明、退院

*食物経口負荷試験の結果が陽性の(アレルギー症状が誘発された)場合は、上記のスケジュールから逸脱します。 強い誘発症状であれば、1泊の入院加療を要することもあります。

食物経口負荷試験をご希望される場合は、当ホームページ「診療案内」をご覧ください。


近畿大学医学部 小児科学教室

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