患者さんとそのご家族へ

病気の話

不登校

 

中学生の不登校は、平成23年度以降は36~38人に1人の率で推移しています(平成27年度学校基本調査より)。
しかし、不登校に至る原因は個々人によって千差万別です。
医学的な原因としては、心身症、身体表現性障害、適応障害、気分障害、不安障害、選択性緘黙、強迫性障害、妄想性障害、統合失調症、反抗挑戦性障害、発達障害などが代表疾患です。
また、社会・心理的な原因としては、学校での人間関係、学業、部活、家庭環境などの問題が多いです。

 

これらの原因を複数同時に抱えている子どもがしばしば見られる一方、自分の気持ちやストレスが分からない(アレキシサイミア)子どもも珍しくありません。
さらに、人に気を遣いすぎるあまり、自分の気持ちや悩みを押し殺して何ともなさそうにふるまう(過剰適応)子どもは、一見「単なるサボリ」のように映ることもあります。
このように、疾患、社会心理的要因、性格を総合的に評価するには時間がかかり、熟練も要しますが、的確な治療介入を行うには、正確なアセスメントが鍵となります。

不登校の原因が千差万別なら、治療介入法も千差万別です。
個々の患者が抱える疾患、社会・心理的問題に対応して、心理教育、薬、心理療法、環境要因への介入(発達障害に対応した環境設定も含む)を組み合わせていきます。
また、子どもの性格や不登校の段階をよく見て、一つひとつの介入法をタイミングよく提示していくことも重要です。
保護者はときに「学校に行けていない」現状に目を奪われがちで、次々と介入を進めたくなってしまいます。
もちろん、それはごく当たり前の親心だと思います。
しかし、子どもの性格やその時その時の状態を無視して、焦って登校に導こうとすると、逆に子どもを追い詰めてしまい、症状を悪化させる場合が多いものです。

 

このような理由から、私たちは多角的かつ正確なアセスメントと、患者様一人ひとりに適した治療介入を心掛けて、不登校診療に取り組んでおります。


近畿大学医学部 小児科学教室

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